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Tomoki Kaneko

- 金子 朋樹 -

本展覧会によせて

富士の麓に位置する小山町。私の故郷であり、今なお住む御殿場市とは、元来「御厨町」として同じ端を発する。「みくりや」という言葉は、小山町と御殿場市に古くから住む人々にとっては馴染みが深い。
静岡県の最北部にある小山町は、箱根山を神奈川との県境に、足柄峠など幾つかの古道がある。ことに標高759mにある足柄峠は、古くから足柄路として東西を結ぶ重要な道だった。
豊門会館から望むことの出来るJR御殿場線は、1934年の丹那トンネル開通まで東海道本線であり、東京駅から直通の運行列車もあった。現在は支線として国道246号線、県道(旧国道)、そして東名高速道路と並走するように小山町を通過、停車する。 その御殿場線 駿河小山駅の正面には城山があり、その山上と山下には多様な路が縦横断する。この町を"接点"とするこれらの様々な路は、時代の潮流の中で在り続け、富士紡績と共に多くの"節点"を生み出してきたのだろう。
朝方、煙霧に尾根を覆い尽くされた山相が僅かに垣間見える。立ち込める霧は稜線に沿いながら、ゆっくりゆっくりたゆたう。その景相は、まるで山々が深く呼吸をしているかのようだ。
御殿場線下には鮎沢川の川水が絶え間なく流れゆく。紅葉に彩られた峠の古道は、光に包まれてより神々しい。路は、これからも新たな節点を生み出し、この地域を象っていくのだろう。

本展覧会 作品展示風景

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