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Satoshi Fujimori
- 藤森 哲 -
本展覧会によせて
映画が好きでよく観る。SFもよく観るが、リアリティーが無いものはつまらない。
サイエンスフィクションのなかにリアリティーを生み出すためには、ある程度現実世界を発展させて空間を作り上げることが必要だ。つまり「リアルのフィクション化」が求められる。
現実世界を苗床にフィクション化された世界には現実世界が本来的に孕んでいた「リアル」が抽出、増幅され、あくまで虚構だった世界は、リアリティーを獲得する。これはいうなれば「フィクションのリアル化」だ。
フィクションと現実の間を横断し、その距離を縮める行為は、ネットを中心とした現代の社会においても頻繁に起こっており、その境界は曖昧で危うい。現実の中に嘘が混ざり込み、なおそこにリアリティーがあるので境目が分かりにくい。私たちが感じているリアリティーは決して現実と同義ではない。
フィクションにリアリティーを与えるのは、古くから絵画のやりかたでもあり、神話を描くのはその好例だ。
「リアル」の増幅器(アンプリファイヤ)としての絵画が成り立つのではないか。
本展覧会 作品展示風景
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